近年、デザイン性の高い平屋が人気が高まっています。延床面積が狭ければ費用を抑えることが可能ですが「平屋にかかる具体的な費用がわからない」「平屋の建築費を抑える方法はあるの?」など、平屋の費用について詳しく知らない方もいるのではないでしょうか。平屋は、設計の自由度が高くワンフロアで生活できるのも魅力です。また、階段がなくバリアフリーの観点からも、高齢の夫婦が安心して暮らすことができます。
そこで今回は、平屋を建てる際にかかる費用と費用が決まるポイントや平屋の建築費を安く抑えるコツ、費用に関する押さえておくべきポイント、平屋と二階建ての税金の違い、ランニングコストの目安について解説します。
□平屋を建てる際にかかる費用と費用が決まるポイント
*平屋の価格は延床面積以外にも影響する
家を建てる費用は、延床面積と坪単価から求められます。しかし、面積や間取り、住宅設備によっても費用が異なります。住宅会社の提案するプランによっても価格が変動するでしょう。例えば、デザインに特化した住宅会社では、設計の自由度が高く、材料の選択肢も豊富です。
大手などが提案するローコスト住宅プランでは、間取りや設備などが建築業者によって決められていることがほとんどです。そのため、通常のプランよりも費用を抑えられる場合もあります。また、同じ間取りや設備、プランであっても大手住宅会社、工務店によっても費用が異なるケースがあるのです。したがって、設計やデザインなど、得意分野がある住宅会社を選ぶことがポイントになります。
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□平屋の建築費を安く抑えるコツ
平屋はあらゆる部分にこだわりがあると、建築費が予想以上にオーバーしてしまうことも少なくありません。しかし、工夫次第では建築費を安く抑えることが可能です。
*外観をシンプルにする
正方形や長方形のようなシンプルな形態であれば、壁や柱の数も少なくすることができるので、その分、費用を抑えることができます。また、凹凸を少なくし、シンプルな箱型にすると工事費用を安くすることができるでしょう。外壁材や屋根材、ドアなどの建具、クロスは、すべてシンプルにすることで加工がしやすくなり、費用を抑えることが可能です。
*屋根の高さを抑える
屋根は、勾配が大きければ大きいほど屋根面積や壁面積が大きくなります。屋根の勾配が大きい場合は、割高になってしまいますが、屋根裏収納として有効活用できるというメリットもあるのです。
また、屋根の形によっても費用が異なります。例えば、入母屋、寄棟、方形、切妻、はかま腰、陸屋根、片流れなどの形があり、片流れがもっとも費用を抑えることが可能です。
*設備のグレードを下げる
キッチンやトイレ、ユニットバスなど、住宅設備にはグレードがあります。特に住宅展示場や設備メーカーのショールームでは、グレードの高い最新の設備に目がいきがちです。しかし、平屋の費用を抑えるには、シンプルで必要最低限の設備を選ぶ必要があります。とはいえ、当初より平屋の総額を抑えられた場合は、改めて住宅設備のグレードを検討するとよいでしょう。
*部屋の数を最小限にする
平屋の建築費を抑えるには、部屋の数を最小限にすることもポイントになります。なんとなく必要と思って設置した書斎や和室など、住んでみると使用していない場合も少なくありません。
そのため、あらゆる部分にこだわりがあると坪数が増えてしまい、予算オーバーになってしまいます。限られた予算内で平屋を建てるには、部屋の数を最小限にすることを想定しながら計画しましょう。
*廊下をできる限り減らす
廊下をできる限り減らすことも平屋の建築費を抑えることにつながります。生活空間が1階部分のみで完結する平屋では、共有する空間とプライベート空間をどのように配置するかで廊下の必要・不要の判断が可能です。廊下を減らすには、広めのLDKなどを動線の一部として活用すると、部屋の中が移動スペースとなり廊下が不要になります。
□費用に関する押さえておくべきポイント
*屋根や土地代で費用が高くなる
平屋を建てる場合は、ある程度の敷地面積が必要になります。特に3LDK以上になると、お子様がいるご家庭が住める広さを確保しなければなりません。しかし、敷地面積が広い場所に平屋を建てるとその分、費用が高くなります。また、面積が広ければ、屋根の費用も高くなりがちです。
*ハウスメーカーやプランによって費用が異なる
同じような平屋であってもハウスメーカーやプランなどによって費用が異なる場合もあります。例えば、ハウスメーカーによっては、ローコストプランやハイグレードプランなどがあります。複数のハウスメーカーを比較しながら、ご自身の希望する平屋と適合するハウスメーカーやプランを選ぶことが大切です。
*間取りや形状、設備で費用が異なる
前述したとおり、平屋の価格は延床面積以外にも間取りや形状、住宅設備によっても費用が異なります。例えば、L字やコの字などの間取りは凹凸が多く、長方形や正方形のシンプルな平屋と比べると、建築費が高くなる傾向にあります。
*採光計画に費用が発生する
平屋の近隣にビルや中高層マンションが立ち並ぶと、採光がとりにくくなります。天窓を設置すると、採光の確保と開放感が得られることが主なメリットです。ただし、設置費用や足場仮設費用などが発生します。
*プライバシー保護の対策費用がかかる
平屋は開放感のある暮らしやすい空間です。しかし、通行人等の外部から視線を感じやすく、プライバシー確保の対策が必要になります。具体的には、窓にプライバシーフィルムを貼る、目隠しフェンスやウッドフェンを設置する、庭木、外構を作るなどの方法があります。
□平屋と二階建ての税金の違い
平屋と二階建てを比較すると、固定資産税については、平屋の方が高くなりやすいです。延床面積が等しい場合は、広い敷地を必要とする平屋の方が土地部分の評価額が高くなります。一方、建物部分は、二階建てよりも屋根の広い平屋の方が評価額が高くなる傾向にあります。ただし、建物の固定資産税評価額は、構造などによって異なります。例えば、鉄筋コンクリート造(RC造)住宅は、木造住宅よりも固定資産税が高くなっています。
□ランニングコストの目安
*固定資産税
毎年1月1日時点において、固定資産の所有者に対し市町村が課税する税金です。土地や建物の評価額によって算出されます。建物は年々価値が下がりますが、土地は地価の上下で変動します。宇都宮市における2022年の住宅地・固定資産税評価額(固定資産税路線価)は、坪単価 14.4万円/坪(4.3 万円/㎡)です。
(参考:トチノカチ「宇都宮市 固定資産税・固定資産税評価額」)
*火災保険料
一般的な木造住宅であれば、補償範囲や特約の有無によって異なりますが、10年契約で約8万〜約29万円程度です。必要に応じて地震保険の加入を検討します。
*メンテナンス費用
新築の平屋でも経年劣化により、メンテナンス費用がかかります。一般的には10年ごとに100万円程度かかると言われています。
*光熱費
電気やガス、水道などの光熱費もランニングコストの一つです。給湯設備などは、電気やガス、オール電化など、組み合わせによって費用が異なります。ガスは、都市ガスとプロパンガスによって異なります。
□まとめ
平屋にかかる建築費は、面積や間取り、住宅設備、住宅会社のプランなどによって費用が異なります。また、L字やコの字などの間取りは凹凸が多く、長方形や正方形のシンプルな平屋と比べると、建築費が高くなる傾向にあります。さらにビルや高層マンションが立ち並ぶと、光が入りにくくなり採光計画に費用がかかります。その他、通行人等の外部から視線を感じやすく、プライバシー確保に要する費用が発生します。
平屋の建築費を安く抑えるポイントは、以下の通りです。
・外観をシンプルにする
・屋根の高さを抑える
・設備のグレードを下げる
・部屋の数を最小限にする
・廊下をできるだけ少なくする
税金面では、平屋と二階建てを比較すると、固定資産税については、平屋の方が高くなりやすいです。平屋を建てる際は、火災保険料や光熱費、メンテナンス費用などのランニングコストも忘れずに資金計画を立てましょう。