薪ストーブはおしゃれなデザインと暖房機能を有しており、注文住宅を検討している人であれば薪ストーブがある暖かい間取りや宣伝写真を一度は目にしたことがあるでしょう。実際に薪ストーブを導入したいというオーナーは多いですが、薪ストーブの機能を最大限に活かすためには間取りとのバランスが重要です。特に吹き抜けがある場合は注意が必要といえるでしょう。
そこで、この記事では薪ストーブを設置する際のポイントについて解説します。
□薪ストーブを設置するのに適している場所はどこ?
薪ストーブは「暖房機器」のため、その機能を活かすためには設置場所が重要です。
そこで、この章では薪ストーブの最適な設置場所について解説します。
*最適な場所は部屋の中央
薪ストーブは放射状に熱を発散させるため、部屋の中央が最適です。熱効率がもっとも高く、薪ストーブが放つ熱が届く範囲全てが暖かくなるでしょう。
一方、部屋の中央にあるとリビングの広さによっては邪魔になることもあり、狭い空間の中央に薪ストーブがあると火傷などの事故が起きやすくなります。
そのため、部屋全体のバランスをみて中央に設置できるかどうかを検討しましょう。
*壁側や角に設置するケースもある
中央に設置するのではなく、壁側や部屋の角に設置することもあります。この場合は熱の発散方法が1~2方向に限定されるため熱効率は落ちますが、リビングを広く使うことができるというメリットがあります。
また、薪ストーブをインテリアの1つとして扱う場合にも壁側や角の設置は向いているといえます。
□薪ストーブはどうやって選ぶ?
薪ストーブは様々な種類があり、どれを選ぶべきか迷ってしまう人も多いでしょう。実際に薪ストーブは暖房機能やサイズなど、何を重要視するのかで選ぶ製品が変わります。そこで、この章では薪ストーブを選ぶ際の代表的ポイントである「デザイン」「暖房方式」「サイズ」について解説します。
*デザインで選ぶ
薪ストーブはリビングなど家族が一番集まる場所に設置するため、デザインは非常に重要なポイントといえるでしょう。薪ストーブといっても天井にダクトを設置し、ただ置いて繋げるだけのタイプもあれば壁に埋め込むタイプの大掛かりな製品もあります。また、ストーブ上部に天板を設置し調理できるタイプも多いです。それ以外にも、鋳物か銅製なのかでも薪ストーブの雰囲気が大きく変わります。
このように、イメージしているリビングにどのようなデザインの薪ストーブが合うのかを検討することは重要です。
*暖房方式で選ぶ
薪ストーブはストーブ自体が熱源となり部屋を暖める「輻射式」と、暖められた空気が部屋を対流する「対流式」があります。どちらも部屋を暖めることには変わりませんが、次のような違いがあることを知っておきましょう。
特徴の違い | 輻射式 | 対流式 |
部屋の暖め方 | 放射熱 | 暖めた空気を対流させる |
部屋の温度変化 | 冷めにくい | 冷めやすい |
部屋が温まる速度 | 遅い | 早い |
薪ストーブの温度 | 非常に高温 | 輻射式に比べて低温 |
薪ストーブの上部 | 天板設置可能 | 天板設置不可 |
このように、どちらにも特徴があり、生活様式に合わせて選ぶ必要があります。特に「部屋のあたたまる速度」は生活レベルに直結するため、慎重に検討すべきポイントといえるでしょう。
*サイズで選ぶ
薪ストーブは暖めたいリビングや部屋の大きさに合わせて、最適なサイズを選択するのがポイントです。例えば20畳前後のリビングを暖めたい場合は50㎝×60㎝の薪ストーブで十分ですが、25畳を超えると80㎝×50㎝の大きさが必要でしょう。
そのため、検討しているリビングの大きさに対しどのくらいの薪ストーブをどこに設置するのかについて、十分に検討が必要だといえます。
□薪ストーブを吹き抜け・他の間取りとの合わせ方は?
薪ストーブは間取りの影響を受けやすく、吹き抜けなど上に空間がある場合は注意が必要です。そのため、薪ストーブを検討する場合はこの章で解説するポイントを事前に押さえましょう。
*吹き抜け下に設置する場合
吹き抜け下に薪ストーブを設置した場合、上方向の暖気は吹き抜けの天井部分を暖めることになります。また、暖かい空気は上に登るため吹き抜け天井部分に暖気が溜まってしまうこともあり、対流式の薪ストーブには不向きな場所といえるでしょう。
*薪小屋との距離は重要
薪ストーブの燃料である薪はサイズが大きくかさばるため、薪を保管しておく薪小屋や保管場所は必須です。また、冬は薪の使用量が増えるため度々取りに行く必要があり、薪小屋といった保管場所への動線と薪ストーブの設置位置は非常に重要だといえます。
□薪ストーブで家全体をあたためる際の考え方について
薪ストーブで家全体をあたためる際には「あたため方」と「部屋の間取り」とのバランスがポイントとなります。ただ薪ストーブをリビングに設置しても思い描いたあたたかいリビングにならないことも多く、場合によっては薪ストーブがあるにも関わらず寒いリビングになってしまうでしょう。
そのような失敗をしないためにも、この章でポイントを詳しく解説します。
*理想は部屋の中央
前述した通り、薪ストーブの暖房能力を最も高められる設置位置は、部屋の中央です。中央に設置することでほぼ全ての方向に対し放射熱を放つことができ、無駄なくあたためることができるでしょう。
ただし、部屋の中央にあることで火傷などの事故が起きる可能性が高くなり、輻射式は非常に高温になるため柵を設置するなどの工夫が必要となるでしょう。そのため、薪ストーブを設置しても問題のないリビングかどうか、十分に検討する必要があります。
*空気の循環を意識する
対流式の薪ストーブは空気の対流によって部屋をあたためます。そのため、ドアや掃き出し窓の横に薪ストーブを設置した場合はあたためた空気が外に逃げてしまいます。このことからも、あたためられた空気がどのように対流するのかをハウスメーカーに確認しておくことも重要です。
*薪ストーブを見る楽しさも重要
薪ストーブはただの暖房設備ではなく、薪ストーブ自体を見る楽しみもあります。穏やかに燃えている火を見ることでリラックス効果があり、あたたかいリビングでゆっくりくつろぐことができます。
そのため、暖房効果が多少落ちたとしても薪ストーブを壁に設置し、ソファを向けることで薪ストーブを楽しむ空間を演出するオーナーも多いです。
□吹き抜けに薪ストーブを導入する際の対策とは?
吹き抜けと薪ストーブの相性は良くなく、吹き抜け下に薪ストーブを設置した場合はあたたかい空気が上に逃げてしまいます。そのため、吹き抜け下に薪ストーブを設置する場合は必ず「シーリングファン」か「サーキュレーター」を使って空気を循環させましょう。
そうすることで繋がっている空間全てに暖気を送ることができ、間取りによっては1階だけでなく2階もあたたかい家にすることが可能です。
□まとめ
薪ストーブには種類によって暖房機能やあたたまる速度が変わりますが、間取りと設置位置の検討は薪ストーブの選択と同様に重要なポイントだといえるでしょう。特に吹き抜け下に薪ストーブを設置した場合は、想定したよりも寒い家になってしまうことが多いです。
そのような失敗をしないためにも、シーリングファンをつけて空気を対流したりそもそもの設置位置を十分に検討することが重要です。薪ストーブはオシャレなインテリアとしても人気であるため、薪ストーブの魅力を最大限に活かした家づくりをしましょう。