デザインという言葉にどんな印象をお持ちでしょうか? 工業デザインやファッションデザイナーなど、なんとなくオシャレで洗練されたモノやコトなどを連想するのではないでしょうか。 住宅にもデザインがあります。 一時 … “デザインとは何かを考えてみましょう!” の続きを読む
デザインという言葉にどんな印象をお持ちでしょうか?
工業デザインやファッションデザイナーなど、なんとなくオシャレで洗練されたモノやコトなどを連想するのではないでしょうか。
住宅にもデザインがあります。
一時期ブームになったデザイナーズマンションなども、住宅デザインの一種です。
今回は「デザイン」ということについて、少し考えてみましょう。
デザインとは概念である
「デザイン」とは何なのでしょうか?
辞書などで調べてみると「意匠・設計・計画・企画・機能・構造・模様」といった単語が出てきます。
何か気づいたことはありませんか?
そうです。見た目に関する記述は一切ないのです。
つまりデザインとは見た目がオシャレとか、そういう意味ではないのです。
デザインの語源は、「デッサン」と同じくラテン語の「designare」(計画したものを記号に表すこと)です。
わかりやすく言えば、デザインとは企画したことを熟考して形にすることなのです。
また、某著名なデザイナーによると「デザインとは目的ではなく、理想形に向かって試行錯誤し、今あるモノより改善すること」ということだそうです。
つまり、出来上がったものがデザインなのではなく、理想形に近づけていくまでの過程こそがデザインということになります。
デザインとアートは似て非なるもの
デザインの類義語に「アート」があります。
デザインとアート、一見すると同じようなイメージを持つかもしれませんが、そこには厳然たる違いがあります。
アートとは辞書によると「芸術や美術など、社会へ間接的に影響を与えるもの」とあります。
これも少し概念的でわかりにくいですよね。
もう少しかみくだいて説明しますと、アートとは作家による自己表現の産物といっていいでしょう。
自己表現である以上、可能な限り制約を排除した状態で作家が理想を追求し、自由な発想で創り上げたモノということになります。
これに対し、デザインとは与えられた制約の中で、要求される最大限の成果物を創り上げようとする行為ということなのです。
具体的に言えば、たとえば自動車のデザイナーを考えてみましょう。
ナンバーを取得して公道を走れるように自動車をデザインするためには、車幅や車高、排気量などさまざまな規制がありますよね。
それ以外にも、ハンドルを操作して運転するといった基本的な自動車としての枠組みがあり、これを逸脱したデザインというのは許されないわけです。
このように社会的・慣例的なルール(制約)の中で、最大限の差別化を図り、成果を上げようと思考することがデザインなのです。
目的のないデザインというのはありえない
デザインという言葉が出てくるとき、そこには何かしらの目的というものが存在します。
たとえば、人間工学に基づいた使い勝手のよい家に住みたいという目的があり、そのためにイチから図面を描き、設計、施工などを行う注文住宅があります。
近年、よく目にするデザイン界隈のキーワードに「モノとコトの融合」ということがあります。
ユーザーがしたい「コト」から「モノ」への発想が生まれ、出来上がった「モノ」を手にしてユーザーが付加価値として新しい「コト」を生み出すということが、デザインそのものだという考え方です。
「コト」が、ここでいう目的のことになります。
こういった目的のために「モノ」を作る循環がデザインであって、作家が自己完結した表現で出来上がったものは「アート」でしかないのです。
デザインとエンジニアリングとの違い
デザインの意味として「設計」という単語を挙げましたが、それは「エンジニアリング」ではないのかという指摘もあります。
エンジニアリングとは工学上の設計であり、たとえば従来よりも1.5倍の燃費向上を果たした自動車の設計というのが、それにあたります。
もちろん、燃費向上によって恩恵を受けるユーザーが多いのですが、これに関しては「従来の1.5倍燃費を向上させる」ことが目的である以上、これはデザインではないという解釈がなされます。
これに対し、たとえば「痛くない注射」を目指し、超極細の注射針を作ったとします。
結果として「やっぱり痛い」ということになってしまっても、目的として「痛くない」コトを目指したので、これはデザインということになるのです。
つまりデザインとは、その先に使う人というユーザーがいることを考えながら、企画や設計を行っていくことが目的となっているのがエンジニアリングとの違いになります。
優れたデザインが重要な理由とは?
ユーザーの求める「コト」を目指し、その先に独自性や先進性が実現できれば、それは優れたデザインということになります。
これを希求していくことは非常に重要になります。
その理由としては、以下の通りです。
・見た目の美しいデザインは需要が高まる
美というのは、常に需要があることに異論はないでしょう。
それに加えてユーザーが使いやすいのであれば、さらに需要が高まるのは言うまでもありません。
・目的までの道のりが一直線である
デザインがユーザーの求める「コト」というハッキリとした目的があるので、企画実現までの道のりが一直線で時間短縮が可能となります。
・制作コストを削減することができる
アート作品と異なり、デザインされたモノは必要なこと意外を極力排していくため、効率的な制作プロセスさえ確立できれば無駄なコストを削減することができます。
このように優れたデザインは普遍性を獲得できて、しかも無駄な時間と費用を削減することができるのです。
住宅における「デザイン」とは?
前述した住宅におけるデザインとは、どのようなものなのでしょうか?
例に挙げたデザイナーズマンションについて考えてみます。
著名な建築家やデザイナーを招いてマンション建築を計画し、施工した物件を分譲あるいは賃貸するのがデザイナーズマンションです。
中にはユーザーの満足や使い勝手を考慮して作られたデザイナーズマンションもありますが、大半は建築家やデザイナーの「作りたいもの」を作り、それをユーザーが気に入るかどうかというコンセプトで建築されたマンションがほとんどです。
そのため、たとえばデザイナーが表現したい空間のために収納を排除してしまったり、少し野暮ったいからという理由で壁紙を排除してコンクリート打ちっぱなしにした結果、冬場は結露で床がびしょびしょという、ユーザーの使い勝手を無視した住宅が出来上がったりします。
これは創り手側が「自己表現」のひとつとして建築されたモノなので、とても住宅デザインとは言えないでしょう。
住宅における真の「デザイン」とは依頼するユーザーがいて、そのユーザーが求めるコトを共有し、まったくゼロの状態から一緒に創り上げていく住宅のことを指します。
そこには、住宅を建築する土地の建築基準や形状という制約があり、ユーザーのライフスタイルや嗜好、この家でどう暮らしたいかという「コト」を目的としてプランニングしていく作業があります。
その上で、どれだけ個性を出して、プランを形にしていくのかということを提案していくことが、注文住宅のデザインなのです。
まとめ
デザインという概念は非常に曖昧で、受け取る側のイメージでなんとなくオシャレとか、洗練されているという印象となりがちです。
しかし本当のデザインは、常に「人」ありきで考えられなければならないものです。
特に長年暮らしていく住宅におけるデザインは、住まう人の求める「コト」を無視しては成立しません。
マイホームの建築を検討する際は、このように真のデザインを実現できる施工業者を選ぶようにしたいですね。
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