「平屋は1階建ての住居である」ということはご存知の方が多いですが、1階建てならではのどんな特徴があるのかはあまりわからないという方もいらっしゃるかと思います。この記事では、平屋について詳しく知りたいという方や、平屋に住みたいという方に向けて、平屋とは具体的にどのようなものなのか、平屋に住むことでどのようなメリット・デメリットがあるのかなどを解説します。
□平屋に住むメリットとは
平屋とは、1階建ての家のことを言います。平屋には、耐震性があったり、垂直方向の移動がないために平面計画をしやすかったり、住む人の身体的な負担を軽減できるなどの特徴があります。平屋の代表的な例として、国民的アニメ「サザエさん」に登場する家が挙げられます。サザエさん一家が暮らす家は日本の昔ながらの平屋ですが、近年はデザイン性が高く見た目を重視した平屋も多く登場しています。国土交通省によると、2019年7月の時点で、15階以下の居住用建物のうちの17%を平屋が占めるほどになっています。平屋の人気度が上昇していることがよく分かるでしょう。
話題を変えて、以下では平屋のメリットについて解説します。
*お年寄りや子供が生活しやすい
家庭内で起こるよく起こる事故の1つに「階段からの転落」があります。階段のない平屋は、バランス感覚が未発達な小さな子供や、筋力が衰えたお年寄りにもやさしい、バリアフリーな住まいだと言えるでしょう。現在では、子供や高齢者がいないご家庭でも、自分たちの今後の生活を踏まえてあえて平屋を選択される方もいらっしゃいます。
*掃除・洗濯などの家事がしやすい
平屋のフラットな空間なら、縦方向の移動がないので、生活動線や家事動線が効率的なものになり、家事全般をとても楽に行えます。たとえば、1階で洗濯をして2階のベランダに干し、乾いたら1階のクローゼットに収納するために、洗濯物をもって階段を降りるなんてこともありません。
また、掃除のために2階に掃除機を運ぶ作業も不要です。そして、埃が溜まりやすい階段の隅を掃除する必要もありません。間取りを考えるときにも、平面移動だけなので効率的な間取りを考えやすく、生活動線がシンプルで、スムーズに家事を行うことができます。
*家族間でコミュニケーションが取りやすい
2階建ての住宅では、リビングに階段を配置し家族間のコミュニケーションを促すといった配慮が行われることもありますが、平屋の場合はすべての部屋が1階にあるので、日々家族の存在を感じながら生活できます。
そして、「子どもが学校から帰宅した後、階段から自室へ直行してしまい、いつ帰ってきたのかわからない」という状態も防げます。間取りによっては家族が自然と顔を合わせる機会が増え、顔を合わせた時にふとした会話が生まれてコミュニケーションが取りやすく、大きなメリットになるでしょう。
その他にも平屋が人気な理由は、外観のデザインがかっこいい家が多いことや、自分好みのこだわりを詰め込んだ家を作れること、小さな子供やお年寄りの方でも安心して住めること、ワンフロアの暮らしやすさが魅力的であることなどが挙げられます。
□平屋に住むデメリットとは
*床上浸水したら家全体が水浸し
日本では毎年といっていいほど、洪水や高潮などの水害が発生します。2階建ての家であれば2階に避難できますが、平屋では小屋裏がない限り、2階に物を移すことや、家の中に安全な場所がありません。最悪の場合、部屋中が水浸しなんてこともあり得るでしょう。
災害を止めることはできませんが、平屋を建てるための土地をお探しの際は必ず、自治体から発行されているそのエリアのハザードマップを確認しましょう。現在は不動産の購入時に重要事項の説明として、ハザードマップを用いた説明が義務化されています。
しかし、土地の検討段階からご自身でもハザードマップを確認しておくべきでしょう。また、どうしても水害の不安が拭えない場合は、別エリアでの購入を検討すると良いでしょう。
*プライバシーや防犯面に配慮が必要
2階の部屋であれば、通行人から部屋の中を覗かれるというようなことはありません。しかし、平屋は全ての部屋が1階にあるので、立地によっては外からの視線が届きやすく、プライバシーや犯罪面では不安があり、防犯対策は必須です。
防犯対策として、「リビングは道路から離れた場所に配置すること」、「通行人の目線の高さに塀や植木を設置し、目隠しを作ること」、「防犯カメラやセンサーライトを設置すること」、「家の周りや出入り口となるところに踏むと音が鳴る砂利を撒くこと」などが挙げられます。このように防犯対策をしっかりととることで、平屋であっても安心して生活することができるのではないでしょうか。
*中心部分の日当たりや、風通しに注意
平屋は、2階建ての家に比べて、横に広い建物です。部屋数が増えると、外に接する部屋と外に接しない部屋ができてしまい、家の中心部分にある部屋は日当たりや風通しが悪くなってしまう可能性があります。また、周りに高い建物が建っていたりすると、全体的に日当たりが悪くなる原因にもなり得ます。
そこで、天窓の設置や、家の形をL字型やコの字型にして中庭を設けるなどの工夫をすることで、日当たりや風通しの問題を解消できます。L字型やコの字型にして中庭を設けた場合、ペットの遊び場やガーデニングスペースにするなど、有効に活用できるでしょう。
□平屋に向いているタイプの人とは
平屋に向いている人の特徴を3つ紹介します。
1つ目は、家族とのコミュニケーションを意識して取りたい方です。
2つ目は、小さな子供や、お年寄りにも優しい、バリアフリー対応の家に住みたい方です。
3つ目は、開放感がある環境で暮らしたい方です。
このように平屋には、2階建てにはないメリットがあります。そして、平屋を建てる環境を重視することで、平屋のメリットを存分に味わえて、理想の生活を実現することができるでしょう。
□平屋を建てる際のポイント
平屋を建てる際には、土地選びがとても重要です。
土地の大きさや向きや形によって、自分の理想通りの間取りが実現できるかどうかが決まると言っても、過言ではありません。また、土地だけでなく、交通量や、人通りの多さも確認しておきましょう。人通りが多い場合には、プライバシーを確保するための対策もしなければなりません。また、マイホームを建てる際は、ハザードマップや地盤の強度についてもあらかじめ確認しておくべきです。
間取りを考える際は、将来的に子供が増えるなど、家族構成に変化があることも考慮します。間取り作りをきちんと行わないと、今後生活していく中で、不満を持ったまま生活することになります。そのような状態にならないためにも、今後のライフプランについて考えを巡らせながら、間取りを考えましょう。
□まとめ
この記事では、平屋について詳しく知りたいという方や、平屋に住みたいという方に向けて、平屋とは具体的にどのようなものなのかを解説してきました。近年、人気を増している平屋は、小さな子供やお年寄りでも安全で、開放感があり、家事や掃除なども効率的に行えます。平屋に住む際のメリットはとても多く、デメリットも対策をすれば問題ありません。平屋を建てる際は、本記事で取り上げたポイントを意識して建てるようにしましょう。