ファミリーからシニアまで幅広い層に人気の平屋ですが「地震に強いのか知りたい」「平屋の耐震性を高める方法はあるの?」などと、耐震性能について気になる方も多いでしょう。平屋は二階建ての家や三階建ての家と比べ、正方形や長方形の構造でシンプルな建物であることが特徴です。建物が低く、耐震性能が高いイメージがありますが、築年数が古い平屋などは耐震基準が現在と異なる場合もあります。平屋の耐震補強は、どのような方法があるのでしょうか。なぜ、耐震性が高いと言われているのでしょうか。
今回は、平屋が地震に強い理由、耐震性を高める方法、平屋住宅のその他のメリット、平屋の注意点について解説します。
□平屋が地震に強い理由
平屋は地震に強いと言われています。そのため、二階建てや三階建ての家よりも平屋を選ぶ方も少なくありません。二階建てより平屋の方が地震に強いと言われる理由として、建物の揺れにあります。平屋は二階がない分、建物の揺れが小さくなり、建物の負担が少ないのです。
一方、建物の高さがあればあるほど、揺れが大きくなり、建物の負担が大きくなります。平屋が地震に強いと言われるもうひとつの理由は、正方形や長方形のシンプルな構造であることです。シンプルな形状の平屋は、壁や天井、床などがバランスよく配置され、地震が発生した際にも震動の力が分散され、建物の倒壊リスクが低くなると考えられています。
L字やコの字などの間取りは、凹凸が多く、力が一点に集中しやすいです。そのため、地震が発生すると、バランスが悪く、倒壊のリスクが高くなってしまいます。とはいえ、必ずしも二階建てよりも平屋の方が地震に強いとは限りません。しかし、平屋は、シンプルな構造で低い建物が多いため、耐震性が高い傾向にあるのです。
□耐震性を高める方法
平屋が地震に強い傾向にあっても、日本は地震大国と呼ばれています。すべての平屋が地震に強いとは限らないので、できる限りの耐震性を高める必要があります。
*正方形に近づけた間取り
正方形にすることで、どの方向から地震が発生したときでも震動の力が分散され、建物が耐えられるということです。家を建てる際は、開放感を重視するあまり、壁を取り除いたり、大きな窓を取り付けたりすることが少なくありません。しかし、これらの間取りは、耐震性能が落ちやすくなる可能性もあります。耐震性を重視する平屋にするのであれば、耐震性能を高めた正方形に近づけた間取り設計が大切です。
*耐力壁の使用
耐力壁は、水平方向の地震力・風圧力などの圧力に対し、筋かいを入れたり、構造用合板を張った壁のことを指します。この耐力壁を多く取り入れることにより、耐震性能を高めた平屋を建てることができるでしょう。とはいえ、耐力壁は、建物の倒壊を考慮し、量だけでなくバランスも大切です。
□平屋住宅のその他のメリット
*家事の負担が少なくなる
平屋のもっとも大きな特徴として、階段がないということです。階段の上り下りがないことで洗濯物を干すために2階に上がったり、上階の掃除をするために掃除機を運ぶといった作業がなくなります。したがって、生活動線に階段がないことで家事の負担が少なくなるでしょう。
*天井を高くできる
住宅の平均的な天井高は、2,400mm~2,500mm程度です。その一方で、平屋の平均的な天井高は、2,500mm〜3,000mm程度となっています。平屋では、天井を高くしたり、抑えることも可能です。また、傾斜をつけた勾配天井にすることもできるため、開放感のある平屋が実現できます。
*外壁のメンテナンスがしやすい
外壁のメンテナンスを行う際、二階建ての場合は高所作業により、足場を設置しなければなりません。高所作業により、専門の業者に依頼することも多くなります。しかし、平屋では脚立のみでも外壁のメンテナンスは可能なため、その分、費用を抑えることが可能です。
*大きなひさしを設ける
平屋は、広い敷地内に建てることが一般的です。建物の周辺には大きな空間が生まれ、「大きな庇(ひさし)を設置することができます。大きな庇は、直射日光を遮ることや外壁の劣化防止、窓を開けても雨が室内に入りにくいなどの効果を得られるでしょう。
*耐震性能が高い
前述したとおり、二階建てと比較すると、平屋の方が耐震性能が高いのが特徴です。建物の揺れが小さくなり、振動による建物の負担が少ないのです。正方形や長方形のシンプルな構造であれば、地震強く建物の倒壊リスクを抑えることができるでしょう。
□平屋の注意点
*日当りの確保が難しい
平屋は、一般的な中高層マンションやビルよりも高さがない建物です。そのため、周辺環境に影響を受けやすくなります。例えば、周辺に高層マンションやタワーマンション、ビルなどが建つと、日当たりの確保ができません。平屋より高さの建物の陰に入ってしまうのです。
また、近隣に二階建ての住宅があると、間取りによっては、家の中が見えやすくなってしまいます。都市部で平屋を建てる場合や住宅が密集しているエリアで日当たりが困難であったり、周辺から丸見えになるような問題が起きやすくなります。平屋を検討されている方は、窓の位置や周辺の建物などを考慮した上で、間取りを決めることが大切です。
*部屋を増やすには敷地が必要
平屋を建てるには、ある程度の敷地面積が必要になります。特に都市部のような住宅が密集している地域では、途中で家族が増え、増築が必要になった際は、敷地面積に余裕がなければ難しい場合もあるため、注意が必要です。
*プライベートな空間の確保が難しい
平屋には、2階がなく、1階のみで生活が成り立ちます。お子様がいるご家庭では、キッチンから子供の様子を見ることができたり、部屋を出入りする姿も見ることができるでしょう。
しかし、家族同士の距離が近く、コミュニケーションが取りやすい反面、プライベートな空間を確保するのが難しい場合もあります。
また、大きな窓を設置すると、間取りによっては外からの視線が丸見えになる可能性もあるのです。家族同士の距離が近いことがメリットとも言えますが、各家庭によって価値観やライフスタイルはそれぞれ異なります。「平屋に住みたいが、プライベート空間をしっかり確保したい」と希望される方は、廊下や個室の設置方法を工夫する必要があります。
栃木県宇都宮市で平屋を検討されている方は、当社へお気軽にご相談ください。
□まとめ
平屋が地震に強い理由として、建物の揺れとシンプルな構造にあります。平屋は二階がない分、建物の揺れが小さくなり、地震の振動による建物の負担が少ないのです。また、正方形や長方形のシンプルな構造であれば、壁や天井、床などがバランスよく配置され、地震が発生した際にも震動の力が分散され、建物の倒壊リスクが低くなると考えられています。
平屋の耐震性を高めるには、正方形に近づけた間取りや耐力壁の使用が大切です。平屋にはたくさんのメリットがある一方で、平屋を建てる際の注意点は、プライベートな空間や日当たりの確保が難しいこと、部屋を増やすには敷地が必要などがあります。耐震性に優れた平屋であっても、地盤が弱いと地震の際に倒壊してしまう可能性もあるため注意しましょう。