介護が必要な両親と一緒に暮らせる二世帯住宅を検討中の方におすすめなのが、平屋をバリアフリーな間取りにアレンジするという方法です。平屋とバリアフリー住宅は相性が良く、老若男女どんな人にとっても快適な暮らしを実現可能です。今回は、バリアフリーな間取りの平屋について紹介します。
□バリアフリーな間取りにするためのコツについて
最も大切なのは、将来を見据えて暮らしやすい設計にすることです。
特に、移動しやすく外出しやすい設計は老後の生活を考えると非常におすすめです。平屋の二世帯住宅で両親と同居したいという場合には、両親が足腰に不安を抱えても満足に移動・外出できるデザインにする必要があります。居間から玄関まで、段差が少ない間取りや動線が無駄なく効率的な間取りになるように心掛けましょう。
両親の介護が必要になると、外に出るのが面倒に感じて引きこもりになるというケースも少なくありません。気軽に外に出られるように間取りを工夫することも必須事項であると言えます。
バリアフリーの設計は、あらかじめあらゆる設備を施しておく必要はありません。必要になり次第、少しずつ設備を増やす方法がおすすめです。最低限の老後の生活への対策としては、玄関を広めにしたり、段差を少なくしたりといった工夫が効果的です。新築時にバリアフリー設備を施さない場合は、後の改修のためのスペースを確保しておくことを忘れないようにしましょう。
また、心のバリアフリーについても念頭に置いておく必要があります。
二世帯住宅では、高齢者や障害を持っている方が一緒に住んでいる方に過度に遠慮してしまうというケースが散見されます。このような遠慮は、次第に高齢者や障害を持っている方にとって生活のストレスとなる可能性を孕んでいます。ストレスをかけないように、心のバリアフリーも忘れないようにしましょう。
「就寝時刻が他の人よりも早いので、生活音が気になる」「トイレの回数が多いので寝室の近くにトイレがあった方が良い」など、気になるポイントは多岐に渡ります。これらのポイントを細かくヒアリングすることで、住んでいる人みんなのニーズに合った家づくりを進められるでしょう。
□車いすが使いやすくなる間取りのポイントとは
車いすの人が快適に生活するために押さえておきたいポイントとしては、以下の4つがあります。
1つ目は、玄関の段差を解消することです。
段差を解消することで、空間の行き来が楽になります。また、引き戸を採用することでも、出入りが快適になるでしょう。
2つ目は、車いすの収納スペースやスロープを設けることです。
予備の車いすや外出用の車いすがある場合は、玄関に収納スペースを設けておくと非常に便利になります。また、玄関とホールの段差とドアの外にスロープを設置すれば、1人でも難なく出入りできるでしょう。
3つ目は、トイレを2つ設置することです。
必ず設置する必要があるとは言い切れないものの、トイレは2つあると便利です。車いすの方はトイレに時間がかかることが多いです。通常のトイレに加えて車いす用のトイレがあると誰でも気兼ねなく利用できるでしょう。
4つ目は、手すりを設置することです。
手すりの位置を決める際には、使い勝手が良いかどうかをチェックすると良いでしょう。また、将来位置を変えられるように下地を大きくとるのも効果的です。
□バリアフリー住宅のメリットについて
平屋におけるバリアフリー生活は移動しやすさだけでなく様々なメリットを生みます。
ここからは、バリアフリー住宅の主なメリットについて紹介していきます。
*メリット1. 親世帯との二世帯で暮らしやすい点
平屋は階段がないため、1つのフロアで完結する作りとなっています。このような作りの住宅は、介護を控えた親世帯との二世帯住宅として最適であると言えます。まだ両親の介護が必要ない場合はそれぞれの生活スペースを分けておき、介護が必要になったタイミングで仕切りをなくして1つなぎの構造にできます。平屋は、家族の希望やライフスタイル、健康状態など様々な要素に合わせてカスタマイズ可能なので、二世帯住宅として十二分に機能するでしょう。
*メリット2. 将来のバリアフリー改修費用を軽減できる点
2階建ての家であれば、バリアフリー改修を行う際に手すりやエレベーターの設置を検討しなければなりません。一方で、平屋であればそれらの2階建て特有の設備のための費用を丸ごとカットできます。また、新築の段階で将来の改修を見据えた作りにしておくことでさらに費用を抑えられるでしょう。
*メリット3. 室温のバリアフリー化が簡単になる点
1つのフロアしかないと、室温を容易に揃えられます。基本的に、冬場の寒い季節は、室温を上げても廊下や階段は暖まらず、快適に移動できません。また、暖かい部屋から寒い部屋への移動はヒートショックの原因にもなります。
平屋住宅であれば、階段のスペースがなくて良いだけでなく、リビングから各部屋へのアクセスを工夫することで暖かい部屋から寒い部屋への移動自体をなくすことも可能です。寒暖差をなくすことで健康上のデメリットを解消する室温のバリアフリー化は、平屋だからこそなせる業だと言えます。
□バリアフリー住宅のデメリットについて
バリアフリー住宅には、上記のようなメリットがある一方で、懸念すべきデメリットも存在します。ここからは、バリアフリー住宅のデメリットを見ていきます。
*デメリット1. 十分な敷地面積が必要である点
バリアフリー住宅には、廊下やトイレ、入口などのスペースをしっかりとる必要があります。将来的に車いすが必要になった時のために、車いすが通れるだけの広さを確保しなければならないのです。このように広さを確保しようとするとすると当然お金がより多くかかるので、予算オーバーになることも考えられます。
また、新築時にはもちろんのこと、リフォームの際にも予算が高くなる可能性があります。バリアフリー住宅を検討する際には、しっかりと資金計画を練る必要があります。
*デメリット2. 玄関をバリアフリーにすると砂やホコリが入りやすくなる点
一般的な住宅の玄関は、昔の土間のように居住スペースと比べて低い位置にあります。しかし、玄関をバリアフリー化すると、この高低差がなくなり、リビングに砂やホコリが入りやすくなるのです。居住スペースをフラットにすることは効果的なバリアフリーの手段と言えますが、一方で掃除の手間が増えることも想定しておく必要があります。
*デメリット3. 収納スペースやバルコニーが狭くなる点
前述の通り、バリアフリー住宅ではほとんど全ての居住スペースを広くとる必要があります。そうすると、比較的優先度が低くなる空間については削らなければなりません。バリアフリー住宅にしたいと思って居住空間を広げたら、バルコニーや収納が狭くなって不便になったという事例もよくあります。後悔しないためにも、間取りについてはしっかりと時間をかけて慎重に決めるようにしましょう。
*デメリット4. トイレや浴室が狭くなる可能性がある点
手すりを設置するためにスペースを狭くしたことで、トイレや浴室が使いにくくなったというケースも少なからずあります。バリアフリー化でどの程度スペースが制限されるかは事前に調べておきましょう。
□シニア世代が快適に暮らすためのアイデア
まず、小さくコンパクトな間取りにすることをおすすめします。
間取りをコンパクトにすることで、小さな敷地でも広々とした生活空間を創造でき、かつ生活動線を効率化できます。また、設計に無駄がないためコストを抑えられるのも嬉しいポイントです。
そして、リビングを中心に回遊しやすい間取りも意識すると良いでしょう。
寝室、客間、水回りと回遊しやすい間取りにすることで、家事動線や生活動線をコンパクトにでき、移動による身体への負担を最小限に抑えられます。
□まとめ
今回は、老後にも快適に暮らせる、バリアフリーな間取りの平屋について紹介しました。
平屋をバリアフリーな間取りにすることで、二世帯住宅で両親の介護が必要になった時でも適切に対応でき、暮らしの快適さを損なう心配がありません。老若男女問わず快適に暮らせる平屋のバリアフリー住宅を是非ご検討ください。